年金改革ストの長引くなか騒ぎ、混乱の多いフランス。メディアからの様子は一部の光景しか見えないので、日本からは「フランス大丈夫?ゴミがいっぱいでしょ?臭いの?怖い?」
フランス田舎暮らしの私の日常生活ではパリをはじめフランスの都市のデモ錯乱の様子が日本に住んでいるが如く遠い風景です。😆
今週末は田舎に住むフランス人の友人の家で「鴨解体作業」に参加。彼女は農家出身。一時は都会に住んでいましたが、両親が亡くなった後生家を守るため両親が住んでいた古民家に戻ってきました。庭にいると隣の農場から50頭くらいの牛のお遍路が現れるような田舎、ど田舎です。
納屋に行くと鴨がなんと10羽吊るされているではないですか。「きゃ〜!」と本気でブリッ子をする私の目の前10センチには鴨の足が!
フランスではマルシェの肉屋などで見慣れた光景とはいえ、納屋で見る吊るされた鴨姿はマルシェのようなおしゃれさおなくリアルです。
週末3日間かけて、鴨を解体した部位をそれぞれ保存食にします。フォアグラ、、、こんなフレッシュなフォアグラはフランスに住んでいても、なかなかおめにかかれません。
調理されたものをフォアグラと呼びますが、そもそも「フォア」肝臓です。光沢のあるフォア。ピカピカの「マグレドカナール」鴨胸肉、なるほど、何故にトゥールーズ界隈に住むフランス人がそこまで愛するのか、美味しすぎるのか、肉の半分は脂なのです。まぐろにすれば中トロ、大トロ状態。
解体作業をしてはじめてわかる鴨部位。なによりも贅沢なのが、解体部位をその日に味わえる。。。最高級のフォアグラ。もちろん保存食目的なので、少し味見するにしてもその辺のレストランでも食べられないフレッシュさ。
こんな贅沢でグロスな作業をしながら、フランス人の食卓スケジュールは完璧。誰かが料理担当となり、作業中のランチやディナーを用意します。日常の食事とはまた違うので、家族を招待したり、近所の人を招待したり、みんなで喜びを分かち合うためには準備万端。
ランチももちろんワインを飲みます。アペリティフからはじまります。フロマージュ、デザート。食後酒で締めくくりながら、作業があってもランチ時間は2時間はかけます。あくまでも食ありきのフランス。食後は引き続き鴨の保存食作業を続けるためにエプロンをつけて作業へ。
豚もそうですが、鴨でも鳥肉でも、保存食作業で学ぶ、無駄をしないための保存食。鴨のガラの濃厚なスープ。鴨の脂はフリトンと呼ばれ脂の塊でアペリティフにフランス人が好むものですが、成人病を気にしていてはなにも楽しめません。
フランス人の食卓は老若男女一緒に会話、食事を楽しみます。6歳から68歳まで。年齢層の幅はあっても会話が弾む。コミュニケーション上手、おもてなし上手、参加上手、というかフランス人は余暇の過ごし方の達人というのはこういうことかな、と鴨の油に塗れる手で鴨ガラにまだ残っている鴨のお肉を探しながら考えてみました。